満を持して、ついに発売!
…と思ったら、発売後1週間あまりで、緊急重版がかかりました。
本当に、ありがとうございます。
『パンのずかん』(大森裕子作・白泉社・880円+税)
最初のページは「まるいパン」。ここのあんパンを描けるようになるまでに2週間くらいかかったっけ…。
正直言って、私、最初は、パン描くのは簡単だと思っていました。へらへら余裕ぶっこいてました。
ところが、木村屋総本店さんであんパンを買ってきて、試しに描いてみたところ、まぁこれが全然描けなかったんです。木村屋総本店のあんパンが、とっても魅力的すぎてとても表現しきれませんでした。
できたてのあんパン。まだ湯気がたってるくらいの。しっとりとした湿り気。なめらかな手触り。ふんわりと孕んだ空気。サクッと切れる外皮。口の中でプチプチはじけるゴマ。あんこの重さ。酒種酵母の懐かしい香り。
これを描きたい。この香りまで…。そう思いました。
それからは、毎日パンのことばかり考えて過ごしました。「パンと仲良くなる」と紙に書き机の前に貼って(笑)、毎日毎日、何時間もパンを描き続けました。
するとある時、パンを見ただけで、どの色をどの順番で重ねて描けばいいのかが、なぜだかフッとわかるようになりました。パンが私に教えてくれるようになったんです。嘘みたいな話だけど、本当の話です。
それからは、ただただ、パンから教わった通りに手を動かしていきました。
(締め切りに間に合わなくて、泣きながら、の日も多々ありましたけれど)
そうして生まれたこのパンたち。全104種!
みなさんのお手元に置いていただけたら、とても嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
大森裕子